『ちょき』

 小さな街の小さな美容室。盲目の少女と美容師のおじさんの、ていねいで、いとおしい、小さな恋の話。

 

ちょき
配給

今作は2015年12月、和歌山市内で撮影された作品。
物語の舞台、主人公・直人の美容室はわかやまじゃんじゃん横丁。さらに和歌浦天満宮、マリーナシティ、和歌山盲学校など全て和歌山市内で撮影。これは監督・脚本の金井純一が実際に和歌山市内を訪れ、そこで触れ合った町や人に触発され、書き下ろしたオリジナルストーリーのため。
映画本編に流れるあたたかさや優しさは和歌山弁と和歌山の魅力から成るもの。金井監督からは「和歌山市のロケーションとしての魅力はもちろんのこと、撮影に協力してくださった和歌山市民の方たちの魅力も、この映画の中にしっかりと刻まれています。和歌山市でしか撮れなかった、あたたかい、愛のある映画ですので、ご期待ください」とメッセージが届いた。

盲目の少女・瀬戸サキ役という難役に抜擢されたのは増田璃子。金井監督とは短編「転校生」でタッグを組み国内外で高い評価を得て今作に至った。その独特な眼差しの表情と長編映画初主演とは思えない演技で、儚くも力強いサキを演じる。
そのサキを優しく受けとめながらも、自身に深い葛藤を抱える美容師・波多野直人役を演じた吉沢悠。微細な感情の表現を求められる役を見事に演じきり、「ちょき」に新たな魅力を生み出した。
またサキの親友で、弱視の河合あかね役の藤井武美。直人の妻で、書道教室でサキに書道を教えていた京子役の広澤草。京子の母親で、直人に対して葛藤を抱く尾崎一枝役の和泉ちぬ。直人が営む美容室HATANOの常連でスナックのママ、直人の理解者・江川舞役の芳本美代子。直人の古くからの常連客でコーヒーとレコード好きの宮本昭夫役の小松政夫、と個性的かつ実力派俳優が脇を固めている。

音楽・主題歌はおおはた雄一が担当。監督リクエストによる全編書きおろしのギターの音色がストーリーにそっと寄り添い、主題歌「風の声を聴いた日に」はふたりを見守るような優しい歌声、詩で映画を締めくくっている。
メイン写真は川島小鳥が担当。台本を読んで現場入りし、そのインスピレーションからサキと直人が醸し出す、優しくも切ない雰囲気を独特の風合いで切り取った写真になっている。ロケ地・和歌山の街と人の魅力、そして金井監督が書き上げたオリジナルストーリーに幾重にも重なり、映画「ちょき」が誕生した。

タイトル 「ちょき」
監督 金井純一
出演 増田璃子 吉沢悠 藤井武美 和泉ちぬ 広澤草 / 芳本美代子 小松政夫
上映時間 98分
配給 S・D・P
   
コピーライト ©2016「ちょき」フィルムパートナーズ
公開日

2016年11月19日(土)和歌山先行公開 12月3日渋谷HUMAXシネマ期間限定レイトショーほか順次全国公開

 

 

ストーリー

 

自然豊かな和歌山市の商店街にある美容室“HATANO”。
レコードとコーヒーが好きな波多野直人(吉沢悠)は美容師を、妻・京子(広澤草)は美容室の二階で書道教室をしていた。
7歳の瀬戸サキは、その書道教室に通っていた問題児だが、京子はサキを自分の娘のように可愛がっていた。
直人と京子の間に子供はいなかった。
時は経ち十年後、一本の電話がかかってくる。それは十年前のある事件以来会っていなかったサキ(増田璃子)だった。彼女は視力を完全に失っていた。直人も最愛の妻・京子を五年前に亡くしていた。
空白の十年間に何があったのか。
サキの想いを知り、直人はある大きな決意をする・・・。